畳の制作

     manual work

『どこの畳屋に頼めばいいのか分からない。
どこに頼んでも同じではないか。』
というお客様の声をよく耳にします。
しかし、畳屋の仕事は上手・下手のはっきりした仕事
だと私は思います。

少しばかり畳の作業を説明します。
左上ですが、この畳は以前からの糸や縁を
残しっぱなしの状態です。
これだけ糸や縁を残していると、畳床にも悪影響です。
確かに、仕上げまでの時間は短縮できますが、
以前までの糸や縁の上を縫うことを繰り返しますと、
床の寿命にも影響が出てきます。

左の写真では、以前までの糸と縁を外した様子です。
直前の縁まで合わせて、5本の縁がついてました。
ゴザ(畳表)を巻きつける方も、糸を抜いてなく
縁側と同様に悪影響です。

ワラの畳の場合ですと、表替えの都度、糸を抜くと
ワラが糸で縫われてた隙間を埋め縫うことは
いつまでも出来ます。しかし糸を抜かずに縫っていては、
針の通りが悪くなったり、糸が邪魔して段差が
出来たりします。

これがボード畳(化学畳床)で、発泡スチロールに
糸が残ったままですと、残っていた糸を引っ張り穴が
大きくなったりして、床の寿命が非常に早くなります。
左の写真ですが、糸を全部抜きました。
すっきりして見えるうえ、『先の仕事、次回の仕事』の
仕上がり・衛生面を考えると、この作業は欠かせません。


当店は、15,000円以上の畳には、ホツレ防止に
ノリやボンドをつけないで、糸で鹹くって(からくって)
留めています。
ボンドは化学物質を含まないものを使用していますが、
高級な畳表になると、ホツレる事があります。


商品の説明を聞く際、綿Wと言われる畳表には、
これをしてると安心ですね。
左の写真のように、両方からくって留めます。
これも時間は掛かりますが、『後々の仕事』の為です。
裏返しをする場合はこの作業がしてあると、
仕上がりが断然違ってきます。

例えば8,000円の畳と、15,000円の畳。
『何がどう違うの?』と思われるでしょう。
品物の違いは目に見えますが、仕事が一緒では
せっかくの高級品でも・・・
機械で縫ってしまえば、早く仕上がるし仕上がりも
そこそこ綺麗です。

手縫いの場合、一日親子二人で
8帖仕上げるのが限界です。
機械だと12帖〜18帖仕上げることは可能なので、
機械の方が断然早いのですが、
やはり手縫いの方が綺麗で、敷きこみも良いです。
しかし手縫いは大変時間が掛かる為、
丸一日畳屋さんに預けてもらえると嬉しいです。
畳の角ですが、ボードの場合はホッチキス(釘)等でも
仕方は無いと思いますが、ワラの場合では
釘が錆びてしまい、抜くことが出来ない場合があります。
しっかり手縫いで留めている方がいいですね。



私個人の意見として、安さ・スピード・一日に仕上げる
枚数を追求する世の中で、『丁寧な仕事』『信用・安心』とは何か。
外見だけの仕事は誰にでもできますが、
本当の仕事に拘った畳屋さんは、このような仕事を
難なくこなします。表・縁など見た目だけでなく、
見えない部分を綺麗にできる仕事こそが
ホンモノの仕事と言える思います。

皆様、良い畳屋さんを探して、本当の『美しい畳』を
部屋に敷いてもらってくださいね。           
最後まで読んでいただきありがとう御座いました。

中にはこんな畳屋もあるってことで京都府消費生活科学センターで
興味深いページがありました。一度覗いてみてください。
http://www.pref.kyoto.jp/shohise/index/index.html
をクリックして、
消費生活相談 →契約トラブル編→
ふすまの張替えの激安チラシを見て、
来てもらったら、高い方を勧められた』
です。
最近では、激安チラシに騙される方も少ないとは思いますが、
まだ被害者がおられるもの現状です。皆様お気をつけ下さい。

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